K氏のソムリエへの長くて短い道

昨年の受講生。JSA認定ソムリエ。過去の職業経験等からソムリエを取得するも、現在の主な仕事はデザイナー兼ライター。東京生まれ、東京育ちながら、京都を愛するあまり数年前より移住。心は関西人なれど、バリバリの関東弁を話す。前世はブルゴーニュワイン好きのイタリア人、と自称する54歳。
第4話 楽しいワイン会、そしてそれは甘い罠だった(2011.8月)

見出し前回書いたように、一問一答、それはまさしくソムリエ試験を象徴する苦難、とも言えるものでした。少し勉強してきても、全部分かるわけではないので、あ、これは分かるから当てて当ててって、と思っていても当ててもらえず、あ、覚えてない、と思うと当てられるのです。なかなかうまく答えられずに、よし、次回の一問一答ではなんとか、と思っても、まだまだ本試験ははるか先のことでしたし、正直なかなか身が入りません。さらにワイン概論、フランス全般、と暗記が多い厳しい所が多かったので、最初のころの一問一答は、いつも悲惨な結果となってしまいました。

見出しソムリエになろう、なんてことを考えたのを一番後悔していたのは、実はこの時期でした。モチベーションが上がらず、苦しみました。大好きだったワインが嫌いに思えてきて、美味しくワインを飲むのにこんな知識は必要ない、などと考えました。

見出しそこで、ふと思いついたのが、ワイン会をしようというアイデアでした。ひとりで勉強を頑張ってもどうしても限界がある。みんなでワインを勉強するのもいいのではないか、と思ったのです。そこで、一応井上先生に「勉強のために、クラスのメンバーとワイン会をしたいのですが」と聞いてみると、先生はあっさり「いいんじゃないですか」と言ってくれました。しかし、そのすぐ後で、「ま、勉強にはならないでしょうけどね。ただの飲み会ですね」と冷たく言われてしまったのです。

見出しそれでもめげない私は、次の授業の時にクラスのメンバーに、ワイン会をしよう、ともちかけました。そして、ちょうどみんなもそういう思いでいたようで、ほぼ全員参加でワイン会が実現したのです。井上先生の言葉は本当でした。一応最初はもっともらしく、持ち寄りのワインをテイスティングなどしていたのですが、すぐに酔いが回ったメンバーは、口々に勉強のつらさを訴え始めました。しかし、これが実に良かったのです。みんなお互いが苦しんでいることを知り、慰めにも励みにもなりました。一問一答でいつもズバズバ答えるSくんに勉強の方法を聞いてみると、塾でもらう重要ポイント(A,B項目)を録音して、会社の行き帰りに聞いている、とのことでした。イマドキ風の若い女性なのに同じく非常に優秀だったOさんは、長風呂の湯船の中で、毎日教科書を眺めているそうでした。(余談ですが、そのSくんは一次試験96点で合格し、Oさんは現在井上塾のアシスタントになっています)なるほどと思ったり、自分も頑張ろう、と思ったり、非常に有益なワイン会であったと、その時は思いました。

見出ししかし、それもしょせん一夜の夢。人の勉強法を聞いて参考にはなっても、またみんな同じような苦しみを抱えているとしても、やらなければならないのは自分です。ワイン会は多少の慰めになったとしても、勉強にはならない。無益ではないけど、あくまでも息抜き。まさしく、井上先生の言うとおりだったのです。そして、多くの合格者が言っているように、「人生で最も勉強した時期」が始まりました。

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