K氏のソムリエへの長くて短い道
さて、今年もいよいよ二次試験の時期になりましたね。今年は一次試験がかなり難しかったそうで、採点の基準も下げられたと聞いています。一次試験に受かった方にとっては、資格が取れるかどうかの正念場ですから、テイスティングや実技の勉強に一生懸命になっていることでしょう。私の時は、前回書いたように一次試験は終わってから行った自己採点で本当にギリギリの72点だったので、それがなんとか合格できたことで気が抜けてしまい、二次試験の口頭試問(今年はなくなったようですが)の勉強を、まったくせずに挑んでしまいました。事前に、口頭試問は一次試験よりカンタンだと聞いていたのもいけませんでした。
ところが、当日フタを開けてみると、口頭試問(とはいえ一次と同じくマークシートの選択方式でしたが)はかなり難しく、勉強不足がたたって、15問中自己採点で自信があるのがたったの5問という結果でした。もはや、絶望的な状況です。しかし、逆にそれが「一次は受かっているから、万が一落ちても来年がある!」という開き直りの気持ちとなり、次のテイスティングと実技を、落ち着いて受けることができたような気がします。
試験会場には、知り合いのソムリエさんたちが試験官としてたくさん居たのですが、皆さん当然のことながら知らん顔で、挨拶以外は口をきくこともありません。そのソムリエさんたちが、やはり黙々と席にテイスティング用のワインを運んできてくれます。問題は、白1種類、赤2種類、その他の酒類1種類です。白ワインに続いて運ばれてきた赤ワインは色が薄く、すぐにピノ・ノワールだろうと思いました。そして色の濃い赤ワイン、さらに、驚くことにどう見ても色の濃い赤ワインが、もうひとつ運ばれてきたのです。一瞬混乱しましたが、すぐに、あ、これはその他の酒類がポートなんだな、と気づくことができました。
まず白を口に含みます。すぐに前日にテイスティング勉強していた、ロワールのミュスカデ・セーブル・エ・メーヌが思い浮かびました。そして、合わせる料理を見ると、教科書に載っていた「カワカマス」があります。間違いないと思って回答を書きます。結果的にはこれがビンゴでした。今となっては、同じワインでも当てる自信は全くありませんが、当時は試験に向けて毎日テイスティング練習を繰り返していたので、感覚が研ぎ澄まされていたような気がします。しかし、続く赤ワインは色に引きずられてピノ・ノワール以外思い浮かばず、そう回答したのですが、実はネッビオーロでした。しかし、若干ピノにしてはクセがあったので、生産国をイタリアにし、そこで救われました。最後のオーストラリアのメルローも、品種はシラーと思ったのですが生産国は当たりました。テイスティングの試験は、品種を外しても生産国やヴィンテージなど回答項目は多いので、そのどれかが当たれば得点はできるのですね。それが幸運でした。
そして、いよいよ問題の実技試験です。