安藤夫妻のワインエキスパートへの道

フランス料理「匠・奥村」調理兼ソムリエ。'07JSA認定資格に合格、料理・サービス・ソムリエの3つの顔を持つ奇才。88年より渡独し、数々のミシュラン格付レストランで部門シェフ、副料理長として活躍。97年ドイツ日本国総領事館付公邸料理人。03年帰国後は京都に滞在、06年より祇園「おくむら」勤務を経て現在に至る。
第5話 夏を制するものは試験を制す。ワインを飲む時間があったら勉強勉強!(2010.7月)

見出し7月に入ると一次試験まで2か月足らず。気温も、講義のペースも、どんどん上がっていきます。内容もヨーロッパを離れ、新世界へ。近年美味しいワインがどんどん生産されている新世界、当然試験でもそれなりの問題数が出題されるので疎かにはできません。昨年の出題範囲はアメリカ、オーストラリア、アルゼンチン、日本の4か国。1か国あたりの重要項目は少ないですが、4か国を2回の授業で詰め込んだので、1回の授業あたりに覚えなければならない項目数は相変わらず膨大なものでした。

見出しさらに困ったことに、この頃になるとそれまで大量に詰め込んできた数字、年号が頭の中でゴチャゴチャになり、どれが何だかわからない状態になってきました。そこでオクサマが作成したのが、数字についてはA〜C項目のうち数字に関するものをテキストのページ順に並べた一覧表。これは順次更新し、最終的には「平成20年(2008)の男性の平均寿命(答: 79.19歳)」から「12℃の赤ワインを23℃の部屋へ放置した場合、18℃になるまでの時間(答: 105分)」までの446項目(内A項目は210項目)に上りました。
年号についてはダンナサマのアイデアで縦軸を時代、横軸を国とするワインに関する事柄を纏めた大きな年表を作りました。こうするとフランスでガラス瓶とコルクの利用法が発見された18世紀にイタリアでジョーン・ウッドハウスがマルサラを生産したという風に視覚的に記憶に残ります。

見出しまた、各国のワイン生産量上位地域や各地域の上位ぶどう品種などの「順位」は特に忘れやすいので別にまとめ、時々見返すようにしていました。記憶力で劣る分、工夫で勝負!語呂合わせも作りましたよ。例えば「アウスレーゼの開発で人悩み(1783年)。語呂合わせの本が市販されてもいますが、私たちの経験上、どんなに「苦しい」語呂合わせでも自分で作ったものの方が覚えられますよ。一覧表も年表も、差し上げることはできますが、もし欲しいと思われるなら、是非ご自身で作ってみてください。

見出しさて、試験に合格するためにも、この頃にはテンションを更に上げ、暗記を確実にしていかなければなりません。私たちのクラスは中間試験上位者の割合も多く井上先生から優秀という評価を頂いていたようですが、毎回行う一問一答、スピード練習での正答率がなかなか上がらないクラスもあり、遂に井上先生が喝! 飲みたいときもあるでしょうが、ぐっと我慢して一緒に乗り切りましょう、と禁酒宣言をされました(実際に井上先生は一次試験前の最後の講義が終わるまで一滴も飲まれなかったそうです)。クラスメートのYさんが「ワインが好きで入ったのに、いつの間にこんなことに……」とぽつりと言ったのを今も覚えています。

見出しそのようなプレッシャーを感じつつ、抜け落ちていく記憶と戦いながら、もう何度呟いたかわからない、「ここを乗り切れば」という自分自身への励ましの言葉を呟きつつ、「決戦の8月」を迎えるのでした。

次回につづく・・・
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